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限局性学習症(学習障害)

発達障害?限局性学習症(学習障害・LD)について、チェックリスト
目次

限局性学習症とは何か

限局性学習症というのは、それぞれの子供が得意なこと苦手なことがあるように、「読む」「書く」「数を計算する」「考える(推論する)」「聞く」「話す」など、学ぶ上で大切な行動の中で、特定の部分に困りやすさが出てくる状態のことを指しております。これは子供が頑張らないからや、親の教え方がいけないからではありません。むしろ、それぞれの子供の脳が処理する情報の取り扱い方が、少し特殊な形で働いているからと言えます。この症状は子供が小学校に上がるとよく見つかることが多いです

幼児期:文字や数字に対する反応

幼児期からもそれとなく感じることができることもあります。絵本の中に文字が多いと興味を持たなかったり、覚えたはずの数字を忘れてしまったり順番に数を数えることが苦手だったりします

知的能力は正常:学びにおける特定の困難

限局性学習症とは、普通に考えたり理解したりする能力は全く問題がないのに特定の学びの部分でだけ難しさが出てくる状態です。普段の生活では何も問題がなくても読むことや書くこと、計算することだけが困難です。これは知的発達症とは異なります。知的発達症は全般的に学習や理解が難しい状態ですが限局性学習症は、特定の部分だけが難しいという特徴があります

子供の成長段階に合わせた観察

特性とは、その人が持っている独自の振る舞いや傾向のことを言います。限局性学習症を持つお子様の特性について、年齢ごとに観察すると、以下のような特性が見られます

幼児期の特性:遊びや学びに困りやすさ

幼児期のお子様が限局性学習症を持っている場合、数字や文字に対して、なんとなく興味が湧かないことがあります。また絵本の時間やお絵描きの時間など、集中して取り組むことが難しいことがあります。言葉遊びの一つであるしりとりが得意でなかったり、特定の言葉を発音するのが難しかったりします。「とうもろこし」を「とうもころし」、エレベーターを「エベレーター」と言ってしまうこともあります。また数字を正しく数えることや、大きさの比較が難しいこともあります

学童期の特性:学びの困りやすさ

小学生になると、学ぶ内容が増え困りやすさも少し変わります。教科書の文章を読むこと、テストなどでマスに合わせて名前や文字を書くことが難しくなることがあります。特に文字を書く時に、ひらがなやカタカナ、漢字などの線の数を間違えたり、適切な形に書くのが難しいこともあります。また黒板に書いてある内容をノートに移すのに時間がかかること、助詞や句読点の使い方が不適切であることも見られます。さらに数字の大きさを比べることや、簡単な計算が難しかったり、図形や表、グラフなどを理解するのが難しいことがあります。時計を読むのが難しい、という子供もいます

特性

文字を読むことに難しさを感じる場合

字を読むためには、「字を声に変える能力」と「その声から意味を理解する能力」が必要となります

例えば、文字列「ごはんをたべる」を見たとき、多くの人は「ご飯を食べる」と流れるように読むことができます。それは、我々が「ご飯」と「食べる」という単位で文字を自然とまとめることができるからです。けれども発達障害の一種であるLDの特性を持つお子さんは、文字をまとめることが困難となり、結果として読むこと自体が難しく感じられます

読む行為についての課題

  1. 言葉を音に変えるのが難しい: 字を見ても、その音を出すのが困難であることがあります。お話になると、"犬"という文字を見ても「いぬ」という音に出来ない場合があります
  2. 読む速度が遅い: 一つ一つの字を確認していると、読むスピードが遅くなることがあります
  3. 単語の読み間違い: "犬"を「ねこ」と読み間違えてしまうようなことがあります
  4. 促音や拗音の発音に苦労: 「っ」や「ゃ」「ゅ」「ょ」などの音を出すのが難しくなります
  5. 形が似た字の混同: 「さ」や「ち」、「た」や「な」のように形が似ている文字を間違えて読んでしまうことがあります
  6. 文字や単語を飛ばして読む: 文章を読む途中で文字や単語を飛ばしてしまうことがあります
  7. 読んだ内容の理解が難しい: 文章を読んでも、その内容を理解するのが難しいこともあります

書くことが困難に感じる場合

子どもさんが文字を書く際の困難について見てみましょう。文字を書くという行為は「脳が文字の情報を思い出す」そして「その情報を手に伝えて指示を出す」これらの手続きが必要となります

この一連の流れに何か問題があると、子どもさんは書くことを困難に感じます。また空間を認識することが難しい、手先が不器用で鉛筆を適切に握ることができないといった特性も書くことに対する難しさを増幅させます

文字を理解する力や覚える力が弱い場合、黒板に書かれた文字を自分のノートに移すといった作業が難しくなり、これが、なぜ小学校に入ってからLDの存在に気づくケースが多いのかという理由ともつながります

書く行為についての課題

  1. 間違った文字を書く: 「な」を「た」のように書いてしまうなど、間違った文字を書くことがあります
  2. 文字の形を間違えて書く: 「き」を「さ」のように書くなど、文字の形(へんとつくり)を間違えることがあります
  3. 単語が書けない・間違った文字が混じる: 「とり」と書きたいところを「とか」と書いてしまうなど、単語を書くことが難しい時があります
  4. 単純な文章しか書けない: 長い文章を書くことが難しいと感じることがあるかもしれません
  5. 文法上の間違いが多い: 「犬は公園で走った」を「犬公園で走った」のように、助詞の使い方が難しい時があります
  6. 作文が難しい: 自分の考えを文章にするのが難しく感じることがあるのです

聞き取ることが困難に感じる場合

聞くことについて考えてみましょう。LDの子どもさんが必要な音を上手く聞き取れないのは全ての音が同じ大きさで聞こえてしまうことが原因となっています

その結果、周囲からは「ちゃんと話を聞いているように見えるのに、よく間違える」や「質問に答えられない」などと思われることが多いです。またテレビを視聴しながら食事をするといった、二つのことを同時に行うことも苦手と感じることがあります

話すことに苦労を感じる場合

脳内で情報を整理するのが難しく、会話の流れを作り出すことができない場合、子どもさんは話すことを困難に感じます。「何を話しているのかわからない」という反応を周りから受け取ると、お子さんは自己否定を感じ話す意欲を失ってしまうこともあります

このような状態では、子どもさん自身がどのような悩みを抱えているのかを理解し、それを他人に伝えることが難しくなります。その悩みは自分だけのものとなり、孤独に感じることが増えます

計算が難しいと感じる場合

計算が難しいと感じる原因は、お子さんそれぞれで異なります。一部の子どもさんにとっては「途中で出てくる数字を記憶するのが難しい」・「読むことが難しいから文章問題が理解できない」などが主な理由となります

また空間認知が困難なお子さんでは、一の位、十の位、百の位といった数字の位置関係が理解できないため、誤った桁の数字を計算に用いてしまうことがあります。さらに推理が苦手なお子さんは、表やグラフから問題を解くための情報を見つけることが難しく感じます

このように、各々のお子さんが持つ困難はさまざまです。そのため、一人ひとりの子どもさんに合わせたサポートが必要となります。そのためにはまず、その困難を理解することから始めましょう

算数に関する課題

  1. 数字の読み書きが難しい(位取りが理解できない): 「1,000」を「いっせん」と読めない、または「5,000」を「さんぜん」と書いてしまうことがあります
  2. 数の概念が理解しにくい: 「5つ」や「10つ」など、数の数え方や、それがどれくらいの量なのかをイメージするのが難しいことがあります
  3. 計算での繰り上がり・繰り下がりが理解できない: 「13 - 9」のような計算で、数字を繰り下げる、または「7 + 8」のような計算で数字を繰り上げることが難しい時があります
  4. 文章題が解けない: 文章で出された問題を解くのが難しいと感じることがあります
  5. アナログ時計の時刻が読めない: 針の位置から時間を知るのが難しいと感じることがあります
  6. 図形や表、グラフを理解するのが困難: 図や表を見て、その意味を理解するのが難しいと感じることがあるのです

チェックリスト

読字障害(ディスレクシア)

  • 文章を読むときに、すらすらと進むことができない子供さんがいます
  • お話や文を読んで、その意味や物語を把握するのが難しい、と感じることがあります
  • 文字や漢字を書くときに、他の子供たちより時間が必要となる子もおられます
  • 言葉を文字に変える、つまり話していることを書き出す作業が長くなることもあります
  • 他の人が書いた文字を丸写しすることが難しい、という子もいます
  • 適切なスピードで話すことが難しく、話す速度が極端に遅かったり、逆に早かったりすることもあります
  • 周囲の人が話していることを理解し、会話に参加することが困難になることもあります
  • 二人だけで会話する時は聞き取りやすいけれども、多くの人が集まって話す場面(学校の教室で先生と生徒が話す状況など)では、聞き取ることが難しくなる子もいます
  • 自分の思っていることや感じていることを、言葉にして伝えることが苦手な子もおられます
  • 短い文章を話すことはできても、それが長くなったり、内容が複雑になると難しく感じることがあります

書字障害

  • 漢字を書くときに、鏡に映したような形になってしまうことが多い子がいます
  • 簡単な漢字でも、正しく書くのが難しいと感じることもあります。例えば、「犬」を「太」のように書いてしまうことや、一つの文字に何度も間違いが起こることなどです
  • 「ね」や「わ」、「れ」、あるいは「め」や「ぬ」など、形が似た文字を混同してしまうことがあります
  • 話すことはできても、それを文章にすると句読点や助詞の使い方が難しくなることがあります
  • 自分の年齢に合った漢字や文章を書くことが難しいと感じることもあります
  • 文字の大きさが一定でなかったり、指定されたマスからはみ出してしまうこともあります

算数障害

  • 数に対する理解が難しく、数字という概念が理解できない子もいます
  • 数の大小を間違えてしまうことがあると感じることもあります
  • 計算がとても単純なものでも、自分の頭の中だけで解くことに時間がかかることがあります
  • 1桁の計算でも手や指を使って計算しないと難しいと感じることがあるのです
  • 数字が書かれているものを、適切に数字に置き換えられないときがあります。例えば、「三千五十」を「350」のように書いてしまうことなどです
  • 答えを出すために複数の公式を使う必要がある計算が難しいと感じることもあります
  • 自分の年齢に合った量の比較や単位の理解が難しいと感じることもあります。例えば、「1mは100cm」というような置き換えが難しいと感じることなどです
  • 等辺三角形などの図形を正確に模写することが難しいと感じることもあります
  • 文章問題を解くことが難しい、あるいは自分の学年よりもかなり下の学年の問題しか解けないと感じることもあります
  • 展開図を頭の中でイメージし、それを描くことが難しいと感じることもあります

特定の学習に困難を感じる(限局性学習障害:LD)は、全ての学習領域が苦手なわけではなく、特定の領域だけが困難となる特徴があります。このリストを見て複数の項目に当てはまると感じた場合、医療機関や発達障害支援施設への相談を考えてみてはいかがでしょうか

読字障害の子ども向けのアプローチ

読字障害を抱える子どもは、文字を読むことに困難を感じていらっしゃいます。そこで最初から大人が読んであげる、または音声を通じて覚えるような方法を試みていただくと良いかと存じます

近年では、携帯電話に搭載されている読み上げ機能や、音声を用いて本を楽しむサービスも存在しております。このようなツールを駆使することにより、お子様が自発的に学習を始めるきっかけになり得ます

書字障害の子ども向けのアプローチ

書字障害を持つ子どものケースでは読むことにも問題を抱えている場合が多いです。ある程度、読むことが可能になると、徐々に書く技術も身についていくことが期待できます

文字を書くことができないという事実により何らかの不利益を感じることもあるかもしれません。しかし現代社会では手書きの文字を必要とする場面は少なくキーボード入力やフリック入力で対応することが可能です

無理に文字を書くことを強いるのではなく、文章の組み立て方などを教えることで、文章を作成する楽しさを伝えてみてはいかがでしょうか

算数障害の子ども向けのアプローチ

算数障害を抱える子どもに対しては、問題の数を減らし、一つ一つ丁寧に解いていく方法が効果的です。学校教育では時間内に数多くの問題を解く形式が多いですが、そのやり方だと考え方の理解が後回しになりがちです

まとめ

  1. 読字障害を持つ子どもには、読み上げ機能や聞く読書サービスの活用を推奨します
  2. 書字障害を持つ子どもには、文字を書くよりも文章の構成を教えることで、文章作成の楽しさを伝えることを提案します
  3. 算数障害を持つ子どもには、問題数を減らして丁寧に解いていく方法が効果的との提言を行います

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